2009.9.2 サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路の旅 7日目
朝、早くホテルを出発し、ひたすら東へと向かった。 順調に走り続け、お昼にはピレネー山脈が見えてきた。
もうフランスはすごそこである。 スペインとももうお別れ、スペインで見た様々な景色が、懐かしい思い出のように頭を駆け巡った。
お昼過ぎ、フランスへと入った。 やはり入国審査などはなかった。 フランスに入ると、自分の国でもないのになんだかとてもほっとした気がした。
夕方、ルルドの近くの Pontacq (ポンタック) という小さな村に着いた。 名前の響きが可愛らしい。
そこでまた、シャンブルドットを見つけた。
本当に素敵な家だった。 庭は隅々まで手入れされていた。 お部屋は2人、別々の部屋で、二人で43ユーロだった。
このお部屋がまたとても可愛らしかった。 もともとは子供用の部屋だったようで、戸棚にはたくさんの本、壁には小さな絵が飾られていた。
他にもいろいろな小物が置いてあったが、どれも素晴らしく部屋とマッチしていた。 ここの家で育った子供たちが少しだけうらやましかった。
荷物を歩いて、街を歩いてみたが、1時間ほどで一周できてしまった。 とても小さな街である。
夕食は街の中心のピザ屋さんで、地元の名物の砂肝のピザと、赤ワインの発泡酒を買って、シャンブルドットのお庭で食べた。
このシャンブルドットというシステム、本当によくできていると思う。
シャンブルドットは、地元の住民が、一軒家の部屋を旅行者に貸すシステムで、ホテルよりもかなり安いのに、どこもレベルが非常に高い。
広い庭付きのところが多く、部屋もとても個性的である。 まるでアーティストかと思ってしまうほど、家主のセンスがいい。
しかし、シャンブルドットは公共の交通機関で行けない所も多く、利用する人も車で旅をする観光客が多い。
また食事は朝食だけで、夕食はない。 それでも安くて広くて、とても雰囲気のいい、居心地のいい部屋を借りることができ、夕食もたいてい地元のレストランがあるので特に困ることはない。
フランスは、ほとんどが田舎で、とてものどかである。 どこを訪れても自然の美しさに目を奪われてしまう。
よくフランス人からパリはフランスではないという話を聞いていたが、今回の旅でそれがわかったような気がした。
それは日本における東京と、地方の生活の差以上に顕著に現れていた。
大多数のフランスは、パリとはあまりに違う生活をしている。 美しい自然に囲まれ、地元でとれた美味しい食べ物を食べ、仲間たちと庭で語り合い、そして朝、仕事へと出かけていく。
そんな生活を現実に送っているのである。 そしてそれこそはフランスらしさ、フランスの文化の源泉なのかもしれない。
日が暮れ、深い紺色に染まった空が、とても美しく感じた。
Pontacq (ポンタック) 泊