2009.9.1 サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路の旅 6日目
朝、ホテルを出発し大西洋方面へと向かった。 しばらくすると霧に包まれた。 対向車もまともに見えないほど濃い霧だった。
山脈を越えるとまるで別の国に来たようだった。
一面、緑が広がっているのである。 このあたりはアストゥリアスと呼ばれ、年間通して冷涼で、降雨量も多く、非常に豊かな地方のようだった。
建物もとても立派なものが多い。
あたり一面トウモロコシ畑が広がっていた。 ここで一生忘れられない素晴らしい光景を目にした。
草原に古い墓地の建物、その向こう側に海。 このなんともいえない色彩のコントラストが非常に美しかった。 あまりの美しさに魅了され、何枚も何枚も写真を撮り続けた。 あとで撮った写真を見てみたが、やはり目で見たほどの美しさはそれほど現れていなかった。
もしかしたらスペインで見た景色の中で最高の景色かもしれない。
山脈の向こう側の乾いた大地が続くカスティリャレオン州とは大違いである。
お昼ごろ、アストゥリアスの最大の港湾都市、ヒホン(Gijón)に着いて、昼食を食べた。 海を見ながら食べる食事は最高だった。
海岸には着替えをするための仮説のテントが建っていたが、日本では見られない、カラフルなデザインのもので、とてもきれいだった。
夕方、リャネス(Llanes)という街に着いた。
どことなく雰囲気がサンティアゴ・デ・コンポステーラに似ている。 通りにはたくさんのお店が立ち並び、とても賑わっていた。
スペイン最後の日だったので、夕ご飯を食べるため、いろいろとお店を探して回ったが、とても雰囲気のいいお店を見つけた。
建物の中は酒場になっており、外にたくさんのテーブルや樽が並べてあって、現代的なものが一切なく、まるで中世の酒場をそのまま再現しているかのようだった。
やはり人気があるお店なのかほぼ満席の状態だったが、立食なら待たずにできるとのことだった。
他の人の頼んでいるものをみながら、ここの名物であるりんごのお酒、チョリソーやサラダ、オムレツ、イカの焼き物などを注文した。
どれも最高に美味しかった。 何よりもこの雰囲気で食べられることが何よりも嬉しかった。
日本に帰って、何年、年十年経っても、この光景を思い返すことは、おそらく幾度となくあるだろう。
幸せとは何か、ひとつの答えがここにある気がした。
夜道、お酒のせいか、酒場の雰囲気に浸ったせいか、少し浮かれながらホテルに帰ってきた。